【モデルカーズ】役付き911は“高嶺の花”というより“高値の花”【Porsche 911 GT3 RS4.0】
ポルシェ911が高くなった。もちろん、元々中古車市場でも高値安定だったが、我々クルマ好きが算定する、乗った時の喜び、保有した時の満足感の対価としての価値を遥かに超える、恐ろしい値段になっている。
円が弱くなって久しい昨今では、海外のインフルエンサーの動画や実車オークションの模様などをSNS経由で眺めているとポルシェを問わず、「あ!これ日本にあったやつじゃない?」的な個体に出くわすことも珍しくない。そして皮肉なことに、走ってこそ真価がわかる、走ってなんぼのハイパフォーマンスモデルに限って、資産価値的な面に重きが置かれ、走行距離が何百キロみたいな、新古車が出てくるわ出てくるわ。乗らずに寝かせて価値が上がるのを待つのが鉄則的な。昨今巷を賑わす「転売ヤー」の、桁が異次元に違うことが実車の業界でも起きている。

そんなこともあって、庶民にとっては無縁ないわゆるスーパーカー/ハイパーカーを普通に思う存分乗って楽しんでいるオーナーを見ると、妬みとよりも先に、何だか嬉しくなったりもする。クルマも嬉しそうに見えるのはたぶん気のせいだと思うが。

ほんの10数年前までは、911で高いのは空冷期のモデルというのは常識であったが、昨今は水冷期であっても、役付きと呼ばれるGT系のホモロゲ車の値上がりは尋常ではない。その中にあっても突出しているのが、ここに紹介するモデルがモチーフに選んだGT3 RS4.0だ。生産台数はわずか600台、日本にも10数台の割り当てがあり、その販売業務を担ったのが、古くからのドイツ車ファンにはちょっと懐かしいCOXだったことも記憶に新しい。

ポルシェのGT3というと、見た目の厳つさが外野的には目を惹くが、その真骨頂は過給機に頼らない、その時代時代の最強の自然吸気フラット6が搭載されるという点だ。このGT3 RS4.0は車名にわざわざ「4.0」とつけられていることからも分かるように、排気量が普通(というのは憚られるが)のGT3 RSの3.8リッターから、4.0リッター(3,996cc)にまでアップされ、最高出力は500馬力を叩き出すのである。ふた昔ほど前に日本で流行ったリッター何馬力なんて表現は、ホンダ以外はだいたいターボに頼っての数字だったから、しかもポルシェのロードカーならではの耐久性などを十分に担保しての数字だと思うと、驚異的なものと言えるだろう。

車体は元々軽いGT3 RSをベースにさらなる軽量化を追い求め、ボディにはふんだんにCFRP素材を用い、ルーフはマグネシウム、リアウィンドウとリアクオーターガラスはポリカーボネイト製を使用。その結果、車重はわずか1,360kg(国産車でこの車重はトヨタ・シエンタあたり)に抑えられているのだから、それを500馬力で引きずり回すという快楽に目を背け、乗らずに価値が上がるまで保管しておくなどというのは、それはそれで結構な苦行だろう。
さて、肝心のGT3 RS4.0であるが、さすがはポルシェらしく、見せる部分(もちろん機能を伴ってだが)の演出もさすがだ。外観的には白、ないしは黒のボディカラーのみが用意され、そこにシルバー基調のストライブが華を添える。強大な専用のリアウィングやカナード(スラストスポイラー)もレーシー度に磨きをかける。ホイールはレーシングカーさながらのセンターロック。モデルでは真鍮を機械で切削してつくった原型をホワイトメタル鋳造部品に置き換えて、繊細なスポークなどを含めて1/43スケールに緻密にスケールダウン。
MAKE UP co.,LTD.
内装はレザー&アルカンターラがふんだんに奢りつつ、ロールケージや消火器、カーボンシェルのスポーツシートなどを備えたレーシングカー的なスパルタンさも兼ね備えている。モデルでは造形やサイズ感(モデルカーの室内パーツはどうしてもサイズ的に小ぶりなりがち)、質感にも拘ってのフィニッシュ。
メイクアップでは実車に公式設定はなかったものの、白と黒以外にもスペシャルオーダーなどでは存在しそうなポルシェゆかりのボディカラーのカラーをまとったGT3 RS4.0をラインナップしている。宝くじでも当たらなければ買えない、と嘆くくらいならば、こちらのモデルをズラリと並べて悦に入った方が、建設的なお金の使い方であり、はるかに満足度は高いはずである。
■メイクアップ Porsche 911(997.2) GT3 RS4.0 2012商品ページ

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