【趣味の中古車ガイド】フォルクスワーゲン ゴルフ Ⅱが欲しい!!【Purchase Project 04】
中古車として人気の高いモデルの概要、ヒストリー、バリエーション、トラブルシューティング、インプレッションなどを紹介するティーポの人気連載【Purchase Project】から、クラシカルな雰囲気と実用性の高さで注目されるフォルクスワーゲン・ゴルフⅡの詳細に迫ります!

【SUMMARY】
フォルクスワーゲン・ゴルフⅡは、1983年夏に発表された。ボディは全長とホイールベースが長くなり、初代のイメージを残しながら、時代にマッチしたデザインと良好な空力性能も獲得。サスペンションは初代から受け継がれた、前ストラット、後トーションビームを採用していた。
エンジンは、欧州市場では豊富なバリエーションを誇ったが、1984年4月に導入された日本仕様は、当初ガソリン1.8リッター直4SOHC+KEジェトロニック/90psと、ディーゼル1.8リッター直4SOHC/54ps、およびそのターボ版70psが用意された。
【EXTERIOR & ENGINE】質実剛健なのに可愛い、絶妙デザイン
ボディは2ドアと4ドアがあり、グレードはガソリンが2種にディーゼルが3種だったが、翌年高性能仕様のGTI(ガソリン1・8リッター直4SOHC+KEジェトロニック/105ps)と豪華仕様GLX(90ps)を追加。1987年には1.8リッターDOHC16V/125psのGTI 16Vと、フルタイム4WDのシンクロも登場した。
同年10月に、三角窓を廃した中期型にマイナーチェンジ。その際通常のガソリン車は、燃料噴射をデジファントに変更して105PSとなった。またGTIは16V仕様のみに絞られた。
1989年10 月に再度マイナーチェンジ。ガソリン車はCiを廃止し、最上級グレードGLiを発売。GLiとGTIにはカラードエプロンの通称ビッグバンパーが装備された。また1991年6月には、4WDで車高を上げたカントリーが限定発売された。
【INTERIOR & LUGGAGE】シンプルだが必要なものは全てある!
ラゲッジは通常でも十分広いが、後席をダブルフォールディングすればワゴン並みに使える。またGLi は6対4の分割可倒だ。
【IMPRESSION】時代を感じさせる部分が運転の楽しさにつながる
今回取材でお借りしたのは、最終型の豪華バージョンGLiの3速AT仕様。走行距離は11万km を超えているが、1 年程前にオールペイントされている上、長くSPINNING GARAGEでメンテされてきた個体のため、非常に良い状態に保たれている。
内装のコンディションも良く、シートはいかにもこの時代のドイツ車らしい硬めのもので、背筋を伸ばして座ることになる。
走り出してまず驚くのは、アクセルペダルが重いというか硬いこと。これは、アクセルワイヤーの取り回しが複雑な右ハンドルのAT 仕様だけの特徴だそうで、最初は違和感を感じる。ただ慣れれば、それほど気にならなくなる。またATセレクターをDに入れると、振動がかなり伝わるが、これも走り出してしまえば、さして気にならない。

中期型以降、ほとんどの車種に装備されていたパワーステアリングは、やや重めだがフィールは自然。また取材当日は小春日和でエアコンを使ったが、問題なく冷えていた。ちなみに現在はノンフロンのCOLD 12というACガスを使用しているそうだ。
もちろん3 速AT ゆえ加速は緩やかで、変速ショックも大きいし、高速になれば音も煩い。安全装備はエアバッグどころかABS すら備わらない。だがそれがどうした? と思う。なにせ、現代の路上で必要な装備は最低限揃っているのだ。不便だったり慣れが必要だったりするのも、結構楽しかったりする。クルマってこれで十分じゃないか。久々にゴルフⅡに乗って、改めてそう思ってしまった。
【TROUBLE SHOOTING】早めにプロに相談を!
1. 転ばぬ先の杖! 早め早めの交換を心掛けたい
ゴルフⅡは、新しいものでも既に車齢は40年近くになる。このためトラブルフリーということはあり得ない。常に不具合がないか注意しながら、予防整備的に、油脂類や消耗品は早めに交換するのが望ましい。ただ、もともと電子制御部品が少ないことから、致命的なトラブルに陥る可能性は少ないそうだ。それでも気になることがあったら、プロに相談するのが一番いい。
2. ウィークポイントとされる部分を抑えておこう。
まず劣化しやすいエンジンマウントやミッションマウントは、数万km ごとに交換した方が良いという。また前期型ガソリン車が使用したボッシュKE ジェトロニックは信頼性の面で不安が多いので、後期型の方が安心とのこと。更にパワステは、据え切りで負荷をかけ続けるような使い方は避けた方が無難だそうだ。
【CAR'S DATA:取材車両詳細】

VOLKSWAGEN GOLF Ⅱ GLi 4 DOOR(1991年式)
全長×全幅×全高:3985×1665×1415mm/ホイールベース:2475mm/車両重量:1050kg/エンジン:水冷直列4気筒SOHC 8バルブ/総排気量:1780cc/最高出力:105PS/5400rpm/最大トルク:15.1kg-m/3800rpm/サスペンション(F/R):ストラット/トレーリングアーム/ブレーキ(F/R):ディスク/ドラム/タイヤ(F&R):175/70R13/取材協力:SPINNING GARAGE http://www.spinninggarage.com/
【CHRONOLOGY】VWゴルフⅡ 国内販売の変遷
1983年7月:ゴルフⅡを発表。

1983年9月:フランクフルトショーで正式に発表。欧州市場で販売を開始。当初エンジンはガソリンが4種(1.3~1.8リッター)、ディーゼルが2種(1.6リッター&1.8リッター・ターボ)。
1984年4月:ヤナセを通じて日本でゴルフⅡを発売。日本仕様は当初以下の通り。ガソリン・エンジンの燃料噴射はボッシュKEジェトロニックを採用。
【ガソリン・エンジン】
■2ドア Ci 1.8リッターSOHC/90ps 5M/T(右ハンドル/左ハンドル)
■2ドア Ci 1.8リッターSOHC/90ps 3A/T(右ハンドル)
■4ドア Ci 1.8リッターSOHC/90ps 5M/T(右ハンドル)
■4ドア Ci 1.8リッターSOHC/90ps 3A/T(右ハンドル/左ハンドル)
■4ドア GLi 1.8リッターSOHC/90ps 3A/T(右ハンドル)
【ディーゼル・エンジン】
■2ドア Cディーゼル 1.6リッターSOHC/54ps 5M/T(右ハンドル)
■2ドア Cディーゼル 1.6リッターSOHC/54ps 3A/T(右ハンドル)
■4ドア Cディーゼル 1.6リッターSOHC/54ps 5M/T(右ハンドル)
■4ドア Cディーゼル 1.6リッターSOHC/54ps 3A/T(右ハンドル)
■4ドア CLDターボ 1.6リッターSOHCターボ/70ps 5M/T(右ハンドル)
■2ドア GTD 1.6リッターSOHCターボ/70ps 5M/T(左ハンドル)
1985年6月:2ドアGTIを追加発売。1.8リッターSOHCの高性能仕様。
■2ドア GTI 1.8リッターSOHC/105ps 5M/T(左ハンドル)
1985年10月:4ドアにCLi(パワーステアリング装備)と豪華仕様GLXを追加。
■4ドア CLi 1.8リッターSOHC/90ps 3A/T(右ハンドル/左ハンドル)
■4ドア GLX 1.8リッターSOHC/90ps 3A/T(左ハンドル)
1985年10月:Cディーゼルの2ドア/3A/T仕様、同4ドア/5M/T仕様を輸入中止。CLDターボに左ハンドル仕様を追加設定。
■4ドア CLDターボ 1.6リッターSOHCターボ/70ps 5M/T(左ハンドル)
1986年10月:CLiに2ドアの3A/T/右ハンドルと4ドアの5M/T/右ハンドルを追加。GTIは、2ドアの輸入を中止し、4ドアに変更となる。Cディーゼルは3A/Tを廃止し、2/4ドアとも5M/Tのみとなる。
■2ドア CLi 1.8リッターSOHC/90ps 3A/T(右ハンドル)
■4ドア CLi 1.8リッターSOHC/90ps 5 M/T(右ハンドル)
■4ドア GTI 1.8りたーSOHC/105ps 5 M/T(左ハンドル)
1987年3月:1.8リッターDOHC16 Vエンジンを搭載したGTI 16Vを2ドアに追加。
■2ドア GTI 16 V 1.8リッターDOHC16 V 125 ps(左ハンドル)
1987年7月:フルタイム4WDのシンクロを追加発売。
■4ドア シンクロCL 1.8リッターSOHC/90ps 5M/T(左ハンドル)


1987年10月:中期型にマイナーチェンジ。GTI16Vとシンクロを除くガソリンエンジンの燃料噴射にデジファントを採用。圧縮比アップなどにより、105ps/15.1kg-mに性能が向上。三角窓が廃止され、サイドミラーが約20cm前方に移動。右ハンドル仕様のワイパーの支点が右側に変更となる。ラジエターグリル形状、エンブレムの位置などが変更。GTIは2ドア、4ドア共に1.8リッターDOHC16Vのみとなり、4灯グリルを採用。
【ガソリン・エンジン】
■2ドア Ci 1.8リッターSOHC/105 ps 5 M/T(右ハンドル/左ハンドル)
■4ドア Ci 1.8リッターSOHC/105 ps 3 A/T(右ハンドル/左ハンドル)
■2ドア CLi 1.8リッターSOHC/105ps 3 A/T(右ハンドル)
■4ドア CLi 1.8リッターSOHC/105ps 5 M/T(右ハンドル)
■4ドア CLi 1.8リッターSOHC/105ps 3 A/T(右ハンドル/左ハンドル)
■4ドア シンクロCL 1.8リッターSOHC/90 ps 5M/T(左ハンドル)
■2ドア GTI 16V 1.8リッターDOHC16V/125ps 5M/T(左ハンドル)
■4ドア GTI 16V 1.8リッターDOHC16V/125ps 5M/T(左ハンドル)
【ディーゼル・エンジン】
■2ドア Cディーゼル 1.6リッターSOHC/54ps 5M/T(右ハンドル)
■4ドア Cディーゼル 1.6リッターSOHC/54ps 5M/T(右ハンドル)
■4ドア CLDターボ 1.6リッターSOHCターボ/70ps 5M/T(右ハンドル)
1988年10月:Ciにパワーステアリングを装備。シンクロにもデジファントを採用(出力は90 psで変更なし)。

1989年10月:ガソリンエンジン車はCiの輸入を中止し、最上級グレードのGLiを導入。CLiは2ドアに5M/Tモデルを追加。GLiは4ドアの3A/Tのみで、カラードエプロン、分割式リアシートなどを装備。GTI16Vはフォグランプ組込みカラードエプロンなどが装備された。シンクロは取扱いを中止。ディーゼルエンジン車はCディーゼルがCLディーゼルとなりパワステなどを装備。
【ガソリン・エンジン】
■2ドア CLi 1.8リッターSOHC/105 ps 5 M/T(左ハンドル)
■2ドア CLi 1.8リッターSOHC/105 ps 3 A/T(右ハンドル)
■4ドア CLi 1.8リッターSOHC/105 ps 5 M/T(右ハンドル)
■4ドア CLi 1.8リッターSOHC/105 ps 3 A/T(右ハンドル/左ハンドル)
■4ドア GLi 1.8リッターSOHC/105 ps 3 A/T(右ハンドル/左ハンドル)
■2ドア GTI16V 1.8リッターDOHC16 V 125ps 5 M/T(左ハンドル)
■4ドア GTI16V 1.8リッターDOHC16 V 125ps 5 M/T(左ハンドル)
【ディーゼル・エンジン】
■2ドア CLディーゼル 1.6リッターSOHC/54ps 5M/T(右ハンドル)
■4ドア CLディーゼル 1.6リッターSOHC/54ps 5M/T(右ハンドル)
■4ドア CLDターボ 1.6リッターSOHCターボ/70ps 5M/T(右ハンドル)
1990年8月:本国でゴルフⅢが発表される。
1990年10月:CLディーゼルの2ドアの輸入を中止。

1991年6月:シンクロをベースに車高を上げ、プロテクトバーなどを備えたカントリーを、110 台限定発売。
■カントリー 4ドア 1.8リッターSOHC/105ps 5M/T(左ハンドル)
1992年4月:ゴルフⅢの輸入を開始。
【TOPICS 01】日本未導入のGラーダー搭載モデル
ゴルフⅡには、Gラーダーと呼ばれるスーパーチャージャーを備えたエンジンを搭載するモデルが存在した。1989~91年に生産されたが、日本には導入されなかった。仕様がいくつか存在するので紹介しよう。

1989年に国際ラリーで戦うためのホモロゲーション・モデルとして登場したのがG60ラリー。3ドアで前後ブリスターフェンダーと角形2灯ヘッドライトを備え、エンジンは1.8リッター直4SOHC8バルブ+スーパーチャージャーで160psだった。駆動は4WDで、5000台以上が生産された。

G60ラリーと同じ160psの1.8リッター直4SOHC+スーパーチャージャー・エンジンを、通常の3ドアおよび5ドアボディに搭載したのがGTI G60だった。駆動はFWDだったが、4WD仕様のGTI G60 SYNCROもラインナップされた。1990~91年に生産。

1.8リッター直4DOHC16バルブ+スーパーチャージャーで210psを発揮するエンジンを、通常の3ドアまたは5ドアボディに搭載したのがG60リミテッド。駆動は4WDで、大きなチンスポイラーも備わる。1989年に71台のみ作られたとされる。

G60ラリーと同じブリスターフェンダー&角形2灯ライトを持つ3ドアボディに、210psの1.8リッター直4DOHC16バルブ+スーパーチャージャー・エンジンを搭載したのが、1990年に登場したG60 16V。駆動は4WDで、僅か12台の生産と言われる。
【TOPICS 02】実はWRCで大活躍した!
ゴルフⅡは世界ラリー選手権(WRC)でも大活躍した。1984年からグループA仕様でワークス参戦を開始。主役であるグループBマシンに割って入る活躍を見せ、1986年にはメイクス部門で3位を獲得した。また1987年からのグループA 時代も、ターボ4 WD全盛の中NA+FFで善戦。同年はアイボリーコーストで優勝し、2部門で総合4位となった。1990年から1.8リッターS/C+4WDのRALLYE G60を投入するが、好成績は残せなかった。



【SPECIAL EDITION OF JAPAN】特別仕様車/限定車(日本市場)
日本市場で販売されたゴルフⅡには、独自の特別仕様車や限定車が存在した。その車名などを紹介しよう。
1985年 メイ・ホワイト=内外装を白で統一
1986年 ゴルフ・サマー=お買い得装備
1987年 スポーティング・ゴルフ=スポーツシート& ステアリングなど
1988年
'88 リミテッド・エディション=充実装備&スポーツシートなど
GT スペシャルバージョン=GTIの足回りを持つCLi
ゴルフ・シュトルツ=充実装備&本革シートなど
1989年
W.O ブラック=内外装を黒で統一
10millionen(ツェンミリオネン)=ブルーメタ外装色&充実装備
'89 リミテッド・エディション=特別シート&充実装備
マンハッタン=ガンメタ外装色&デカールなど
1990年
'90 ブラック=ブラックメタ外装色&充実装備
GT スペシャルバージョン=ブラックブルー外装色&外装GTI仕様
マディソン=黄緑専用外装色&専用内装&充実装備
ブリリアント=CLiにGLiの内装&ガンメタ外装色など
1991年
ブラック・リミテッド=ブラック外装色&充実装備
GT スペシャルバージョン=内外装GTI仕様&ブラックメタの外装色
アーバンエリート=GLiベースの本革内装 & BBSなど
ファイアー&アイス=GTIベースの黄緑専用外装色など
1992年
40th バージョン=CLiベースのGLi装備でディーゼルも
Text:中島秀之 Photo:山本佳吾
Special Thanks:SPINNING GARAGE http://www.spinninggarage.com/
TIPO 2017年1月号より転載