7月20日開催【SPEED FESTIVAL 2026 】でGC Returns をもっと楽しむために! Part3
7月20日月曜祝日(海の日)に、今年もSPEED FESTIVAL 2026 岡山 + Tipo OverHeat Meetingが開催されるが、その公式プログラムとして「GC Returns 2026」のレースが行われる。「GC Returns」は、1972~89年に開催された富士グランチャンピオン・シリーズに出場したマシンとその同型車によるレースで、2025年8月に初めて開催された。2026年は全3戦で行われる予定で、その開幕戦として行われることになる。
7月20日に岡山国際サーキットで開催される、SPEED FESTIVAL 2026+Tipo OverHeat Meetingのプログラムに組み込まれる「GC Returns 2026」のレースをより楽しんでもらうために、かつての富士GCシリーズとGC Returnsに関する情報をご紹介。Part3の今回は、1台の参加車両とドライバーについてお伝えしよう(Tipo 2025年7月号より転載)。

往年のマシンをレストアして、いざ憧れのレースへ!
1971 CHEVRON B19 HART 420S
久保田敏一さん(76歳/取材時)は、1970年代後半にFL500(軽自動車のエンジンを使ったフォーミュラカー・レース)レースで活躍し、コジマ・エンジニアリングのワークスドライバーを務めたこともあるという方。現在も趣味でヒストリックカー・レースなどを楽しまれているが、2021年に、長年の夢を叶えるための一歩を踏み出すことにされた。
それは若い頃実現できなかった、富士GC(グランチャンピオン)シリーズのマシンを手にいれて、走らせるというもの。とはいえ売り物が普通にある車種ではないし、あってもレストアが必要なわけで、困難が予想された。
ただ、幸い地元の京都には、「やさかの会」の流井和幸さんら、かつて一緒にFL500を戦った友人がたくさんがいらっしゃった。しかもその中には、久保田さんたちにとっては大先輩であるレジェンド・ドライバーの鮒子田寛さんもいらっしゃり、イギリスや日本の各種関係者との交渉もお願いできるという環境だった。



そこで久保田さんは、ネット検索で発見した、埼玉県にある室町モータースで長期間放置されていたシェブロンを譲り受けた。これを鮒子田さんの紹介で、京都府南丹市にあるKED(京都エンジニアリング・デベロップメント)に預けて、レストアを依頼する。KEDは少量生産車の試作・開発・量産を得意とする会社で、日本の底辺フォーミュラであるスーパーFJ用マシンの開発なども行っている。しかもレストアの監督と指導は、やはり京都在住のレジェンドエンジニア、解良喜久雄さんにお願いすることになった。ノバF2やコジマF1、トミーカイラの開発で知られる解良さんは、当時シェブロンのメンテナンスも担当されており、これ以上の適任者はない。
驚いたことに解良さんと一緒にレストアを行い、実際の作業を担当したのは、当時KEDの新入社員だった神尾康平さん(23歳/取材時)だった。実はKEDの西村諭明代表が、「若い社員に貴重な経験を積ませるために採算度外視で引き受けた」案件だったそうで、当の神尾さんは4年を経た今、「最初に現在では使わないロウ付け溶接を学び、その後は解良さんから様々なことを教わり、本当に勉強になっています」と言われていた。


手に入れた時のシャシーとボディ。長期間放置されていたため、シャシーは腐食してボロボロ、カウルも酷い状態のものがほとんどだった。シャシーは新品が入手可能だったが、KED西村代表は「人を育てるために1から作る」ことを決断。「物の作り方を学んで欲しい」と言う。
ただ予想通りレストアは簡単ではなかったそうだ。フレームは雨ざらしだったため腐食しており、再使用は不可。ゼロからフレームを作ることになった。幸いシェブロンのパーツは、今もイギリスにある会社から新品が入手できるそうで、サスペンションやボディカウルなど多くのパーツを購入。ハート420Sエンジンの内部パーツもイギリスで入手でき、静岡のハナシマレーシングでヒューランドFT200ミッションと共にオーバーホールすることができた。


左_フロントサスペンションは上下Aアームのダブルウィッシュボーン。アップライトなどは新品。右_リアはいわゆる4リンクのダブルウィッシュボーン。


コスワースBDAを2リッター化したハート420Sエンジン。ハナシマレーシングでオーバーホールされ、カムは大人しいものを入れた。美しいステンレスエキゾーストは、なんと藤壺武志氏がここで手曲げにより製作したもの。ギアボックスはヒューランドFT200。
取材時レストアは最終段階で、間もなくシェイクダウンと言うタイミングだったが、ここで改めてこのシェブロンについて説明しておこう。
シェブロンB19は、イギリスのデレック・ベネット(1978年に死去)率いるシェブロンが、1970年から始まったヨーロッパ2リッター・スポーツカー選手権の、1971年シーズン用に開発したオープン2シーターのレーシング・スポーツカーだった。この年の富士GC第3戦には早くも田中弘のドライブで、コスワースFVCエンジン搭載車が参戦。以後発展型のB21、B23、B26、B36が1980年代初頭まで、富士GCや耐久レースで活躍した。



オイルクーラーは左後輪の前に搭載。燃料タンクは新車当時センターシルの他両サイドにもあったが、安全を考えてセンターのみとした。ホイールはシェブロン用の新品を入手。タイヤはエイボン製のバイアスでサイズは前輪が9.0/20.0-13、後輪が13.0/23.0-13。
久保田さんのシェブロンはB19をベースにB21/23仕様にアップデートされていた車両で、シャシーナンバーはB19-71-05。1971年の初期生産車の1台で、イギリスでレースを戦った後、中古車として1973年に「ニッセイト・レーシング」が購入。2リッター直4のハート420S(フォード・コスワースBDA)エンジンを搭載し、日産ワークスの北野元をドライバーに、この年第2、3戦に出場している。北野は翌年第1戦にもこの車両に乗った後チームを移籍。第2戦からは都平健二が乗り、第4戦にも出場。第5戦は藤崎直司が乗ってデビュー戦ながら4位となり、この個体の富士GCでの最上位記録となった。



右_ボディカウルはリアのみオリジナルを修正して使用し、他は新品に交換している。中_メーターパネルはアルミ板に必要最小限のものを配置しただけ。左右のコンビメーターはスミス製。タコメーターは機械式。左_シャシーのアルミパネルは中央部分のみ再使用し、他は新たに製作した。
1975年はこのマシンをチューンアップ・ショップ・エフワンのチームが買い取り、都平健二が第1戦から第3戦まで出場。第4戦は雨のヒート1でクラッシュし、一週間後のヒート2、さらに第5戦には出場しなかった。
1976年の第1戦でルーキーの松本之孝が走らせた後、このシェブロンは暫く使われなかったが、1977年12月の富士500マイルレースで、RCSエフワンシェブロンとして、新井完純/近江晃が出場。以後1978年10月の富士500マイルまで、同チームから耐久レースに参戦した。
その後、室町明と健二の兄弟のチームがこの車両を購入。レースで使用された記録はないが、兄弟のショップの広告塔として使われた後、長く放置されていた。それを久保田さんが買い取った形だ。

そして、このシェブロンをレストアする久保田さんの計画が、この後とんでもない発展を見せることになる。レストアが次第に進むと、「これ、レースはできないよね。せっかくならレースで走らせたいね」と、久保田さんや「やさかの会」のメンバーは思うようになる。すると鮒子田さんを中心に、「じゃあいっそレースを作ってしまおう」となったそうなのだ。
実は鮒子田さんは、往年の名ドライバーが会員になれる「レジェンド・レーシング・ドライバーズ・クラブ」の副会長で、富士スピードウェイで毎年開催されている名ドライバーによるレース、「AIM Legend’s Club Cup」のプロデューサーでもあるのだ。このため一気に話は具体化していく。
こうして前述した「GCリターンズ」という、グランチャンに出場したマシンによるリバイバルレースが行われることが決定した。久保田さんのシェブロンは、このレースにもちろん出場予定だ。

それにしても、京都のレース関係者の皆さんの横のつながりと、実行力の高さには驚かされるばかりだ。しかもほとんどの皆さんが、後期高齢者でいらっしゃる(失礼!)のに、だ。今後さらにGCリターンズが発展していくことは、間違いなさそうだ。


2025年のGC Returnsで、完成なったシェブロンB19で久保田さんはレースに参戦。マシンは1973年の北野 元仕様に仕上げられた。レジェンドドライバーによるデモ走行では、見崎清志さんがドライブを担当した。
Text:中島秀之 Photo:タナカヒデヒロ
Special Thanks:KED https://ked.co.jp/ TIPO 2025年7月号より転載

【開催概要】
SPEED FESTIVAL 2026 with TIPO OVERHEAT MEETING
開催日時:7月20日(月・祝)8:00~17:00
開催会場:岡山国際サーキット(岡山県美作市滝宮1210)
主催:カルチュア・エンタテインメント株式会社 ネコパブ事業部
入場料:無料(別途駐車場代)
お問い合わせ先 speedfes@ceg.co.jp
駐車料・プログラム参加料ほか各種チケットはこちらで購入ください。
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