【趣味の中古車ガイド】BMC/BLMC ADO16シリーズが欲しい!!【Purchase Project 16】

中古車として人気の高いモデルの概要、ヒストリー、バリエーション、トラブルシューティング、インプレッションなどを紹介するティーポの人気連載【Purchase Project】から、ミニの上級モデルで6つのブランドから販売された、ADO16シリーズの詳細に迫ります。

【趣味の中古車ガイド】BMC/BLMC ADO16シリーズが欲しい!!【Purchase Project 16】
ウインドーが大きくてCピラーが太い、この時代のピニンファリーナらしいボディデザイン。小さなノッチが付くテールは、カワイイ印象。

【SUMMARY】
BMC(ブリティッシュ・モーター・カンパニー)が、ミニ発売から3年後の1962年に発表したのが、ADO16シリーズ最初のモデル、モーリス1100だった。ADO16という呼び方は、アマルガメテッド(統合された=BMC誕生以降)・ドローイング・オフィスの16番目のモデルという意味を持つ。

メカニズム的には、アレック・イシゴニス設計のミニをそのまま大きくしたものといえ、センターモノコックの前後にサブフレームを装着し、サスペンションとパワートレーンを搭載したFF方式。エンジンは1098ccのBMC・Aタイプが、ミニ同様4速ミッションと2階建てに横置きされた。

サスペンションは、形式こそミニと同じだが、ラバーコーンの代わりに、アレックス・モールトン設計によるハイドロラスティックが採用されていた。ラバースプリングと液体を組み合わせ、左右別々に前後を連結したこのシステムは後にミニにも採用される。

ボディタイプは4ドアが基本で、2ドア(当初輸出用)、3ドアワゴン(1966年~)の3タイプを用意。またBMCのブランド戦略に合わせ、モーリス、MG、オースチン、ヴァンデン・プラ(・プリンセス)、ライレー(・ケストレル)、ウーズレーの全6種類が用意された。

各車の詳細は別項を参照していただきたいが、大きな変更点としては、1967年にまず1275ccエンジンがオプション設定され、その後リアのテールフィンが短いMk.2ボディに進化、1275ccエンジンが標準化された。さらに1971年にMk.3となり、1974年に生産を終了した。

【EXTERIOR & ENGINE】ピニンファリーナによる機能性に優れたデザイン

丸2灯のヘッドライト。現車はH4タイプが装着されていた。下にウインカー&スモール・ランプが備わる。
1967年10月のマイナーチェンジで、テールフィンが短くなり、テールランプレンズも大型のものになった。
タイヤは145 R12サイズ。ホイールは本来スチールだが、現車はパナスポーツ・フォーミュラを装着する。
SUツインキャブ装備で70 psを発揮する1275㏄のBMC・Aタイプユニット。現車はシュラウドまでオリジナルの状態。

【INTERIOR & LUGGAGE】意外なほど広く、解放的なインテリア

インパネは70年代製らしく、パッドの入った黒一色の樹脂製。3連メーターはいずれもお約束のスミス製だが、左端の時計のみイエーガー製のお洒落なものが装着されていた。
ステアリングは貴重なレスレストン製3本スポークに交換されている。これまたかなりの「お宝」のはずだ。
シフトレバーは床から生えている。カセットデッキの下にヒーターなどのスイッチが見える。
前席は、座面がふわりと沈みこみ身体を支えてくれる。現車は3点式シートベルトを左右に装備していた。
後席は座面が高く、座ると視界が良くて開放的な雰囲気。2点式ベルトやアームレストまで備わる豪華仕様。
ボディ形状的にはリアに小さなノッチが付くだけなのに、トランクスペースは十分以上の容量を確保する。

【IMPRESSION】快適な乗り心地で、長距離ドライブに出かけたくなる!

ADO16シリーズはこれまで様々なタイプを運転してきたが、モーリス/オースチンの1300GTは初めて。外観はかなりスポーティだが、走りはどうだろうか。乗り込むと、まずシートの座り心地の良さに驚く。フワッとお尻が沈む感じはフランス車のようだ。インパネの3 連メーターはなかなかスポーティ。ステアリングがレスレストンに替えられているのでなおさらそう思える。
エンジンをかけると、お馴染みのA タイプ・サウンドが響く。ただミニほど車内はうるさくなく、静かに走り出す。SUツインキャブ装備で70 ps のエンジンは、低回転から素直にトルクを出して、スルスルっと車速を乗せていく。その際、ハイドロラスティック・サスペンション独特の、車体があまり姿勢を変えることなく、路面の凸凹を吸収してしまう、快適な乗り心地が続く。
この感じは、以前乗ったヴァンデン・プラ・プリンセス1300 やMG1300 とほぼ同じ。ということは、GT を名乗るものの、これはスポーツ仕様というより、モーリス/オースチンの高級グレードであって、本来のGT、つまり長距離走行が得意な仕様ということなのだろう。
ハンドリングは基本的に素直で、ミニほどクイックではないが、これもクルマの性格に合っている。また初期の1100に比べてボディ剛性がしっかりしているように感じたが、個体差というより70年代のものは補強などが加えられているからだろう。
同じ色のミジェットとの2 台持ちなんてお洒落だなぁ、などとつい思ってしまうほど、状態の良い魅力的な個体だった。

【TROUBLE SHOOTING】

  1. リアサブフレームとの接合部分に注意
    ADO16 シリーズは生産終了から既に半世紀が経過している。このため、全くトラブルフリーということはあり得ない。それでも、良い個体を見つけて、適正にメンテナンスをすれば、日常的に使用することも可能だろう。
    購入時に最も気をつけたのはボディの錆や腐りだ。特にボディのリアサブフレームとの接合部分は、腐っていると修理に手間と金額が必要になるので注意したい。
  2. ボディパーツやラバー類は部品がない
    ADO16 は、ミニなどと比べてヒストリックカーとしての人気がイギリス本国で低いのか、意外にもパーツがあまりない。特に外装パーツは少ないので、外板が腐っていたら、切り継いで鈑金することになる。サイドシル、ドア下部、バッテリースペース周りなど、錆びやすい所の状態をまずチェックしたい。またラバー類も部品がないため、ウインド―周りなど、ラバーの状態の酷いものは避けたい。
  3. 車高が落ちていたら原因を探る必要あり
    ハイドロラスティック・サスペンションは、液体漏れがないかまずチェック。車高が落ちている個体は原因を探る必要がある。単に液体が減っているだけなら、ポンプで追加すれば戻るが、ホースのカシメがダメになっている場合は、カシメを修理する必要がある。ディスプレーサー内のラバーが劣化した場合は、アッシー交換が必要となるが、ミニMk.2用との互換性はないそうで、注意したい。
  4. 旧いクルマに乗るには気遣いが必要
    内装に関しては、シートなどやはりパーツはないので、オリジナル状態であるに越したことはない。傷みがあってもリペアは可能だが、ある程度までは「年式相応」と割り切ることも必要だろう。
    最近はインジェクション・ミニのユーザーが興味を示すことも多いそうだが、早めのオイル交換やグリスアップなど、古いクルマには日頃から気にかける部分が多いことを忘れないで欲しい。

【CAR'S DATA:取材車両詳細】

1971年式 モーリス1300GT 4速M/T
全長×全幅×全高:3685×1530×1350mm/ホイールベース:2375mm/車両重量:837kg/エンジン:水冷直列4気筒OHV8バルブ/総排気量:1275cc/最高出力:70ps/6000rpm/最大トルク:10.6kg-m/3250rpm/サスペンション(F/R):ダブルウイッシュボーン/トレーリングアーム/ブレーキ(F/R):ディスク/ドラム/タイヤ(F&R):145-12/取材協力:オートモビル・アシスト・ブレス http://www.blesscar.jp/

【CHRONOLOGY】BMC/BLMC ADO16シリーズ 販売の変遷

MORRIS 1100 (4Door)

1962年8月:横バーのグリルを持ち、シングルキャブ48psエンジンを搭載したシンプルなモーリス1100(4ドア)を発売。輸出用に2ドアも用意。ミッションは当初4速MT(1速ノンシンクロ以下同)のみ。
* モーリス1100 4ドア 1098ccシングルキャブ48ps 4速MT

MG 1100 (4Door)

1962年10月:縦桟グリルと、SUツインキャブ&高圧縮比で55psとしたエンジンを持つスポーツ仕様MG1100(4ドア)を発売。輸出用に2ドアも用意。
* MG1100 4ドア 1098ccツインキャブ55ps 4速MT

1963年9月:さざ波グリルを備えた、モーリスに次ぐベーシック仕様のオースチン1100を発売。エンジンはシングルキャブ48ps。輸出用に2ドアも用意。
* オースチン1100 4ドア 1098ccシングルキャブ48ps 4速MT

Vanden Plas Princess 1100

1963年10月:大型グリル、レザーシート、ウッドパネルなどを備え、ツインキャブ55psエンジンを搭載する最高級仕様、ヴァンデン・プラ・プリンセス1100を発売。
* ヴァンデン・プラ・プリンセス1100 4ドア1098ccツインキャブ55ps 4速MT

RILEY KESTREL (1100)

1965年9月:3分割グリル、レザーシート、ウッドパネル、3連メーターなどを備え、ツインキャブ55psエンジン搭載のスポーティ&ゴージャス、ライレー・ケストレル1100を発売。
* ライレー・ケストレル1100 4ドア1098ccツインキャブ55ps 4速MT

1965年9月:3分割グリル、行燈バッヂ、ウッドパネル、リボン式メーター、ツインキャブ55psエンジンなどを装備し、MGとライレーの中間グレード的な、ウーズレー1100を発売。
* ウーズレー1100 4ドア 1098ccツインキャブ55ps 4速MT

1965年10月:AP製4速AT仕様をモーリス1100とオースチン1100に追加。
* モーリス1100 4ドア 1098ccシングルキャブ48ps 4速AT
* オースチン1100 4ドア 1098ccシングルキャブ48ps 4速AT

1966年3月:3ドアワゴンのモーリス1100トラベラーとオースチン1100カントリーマンを発売。
* モーリス1100トラベラー 3ドア 1098ccシングルキャブ48ps 4速MT
* オースチン1100カントリーマン 3ドア1098ccシングルキャブ48ps 4速MT 

1967年6月:MG、ヴァンデン・プラ、ライレー、ウーズレーに、1275ccシングルキャブ58psエンジンが用意される。ミッションは4速MT(1速ノンシンクロ)に加え、4速ATも用意。車名は○○1275と称された。
* MG1275 4ドア 1275ccシングルキャブ58ps 4速MT & 4速AT
* ヴァンデン・プラ・プリンセス1275 4ドア1275ccシングルキャブ58ps 4速MT &4速AT
* ライレー・ケストレル1275 4ドア1275ccシングルキャブ58ps 4速MT &4速AT
* ウーズレー1275 4ドア 1275ccシングルキャブ58ps 4速MT & 4速AT

1967年10月:ビッグマイナーチェンジ。テールフィンが短くなり、テールランプが大型化(ワゴンは不変)。ブランドごとに、グリル形状やメーター周りなどの変更を実施。1100ccモデルは○○1100Mk.2となる。また全モデルに1275ccエンジン仕様が追加され、○○1300(Mk.1)と称された。なお1300の4速MTはフルシンクロになった。
* モーリス1100Mk.2 4ドア 1098ccシングルキャブ48ps 4速MT&AT
* モーリス1100Mk.2 2ドア 1098ccシングルキャブ48ps 4速MT&AT
* モーリス1300 4ドア 1275ccシングルキャブ58ps 4速MT&AT
* モーリス1300 2ドア 1275ccシングルキャブ58ps 4速MT&AT
* オースチン1100Mk.2 4ドア 1098ccシングルキャブ48ps 4速MT&AT
* オースチン1100Mk.2 2ドア 1098ccシングルキャブ48ps 4速MT&AT
* オースチン1300 4ドア 1275ccシングルキャブ58ps 4速MT&AT

5月 MG1300の4ドアを廃止し2ドア専用モデルに変更。MG、ライレー、ウーズレーは、いずれも4速MTはツインキャブ65PSに、4速ATはシングルキャブ60PSに変更。
* MG1300 2ドア 1275ccツインキャブ65PS 4速MT 
* MG1300 2ドア 1275ccシングルキャブ60PS 4速AT
* ライレー・ケストレル1300 4ドア1275ccツインキャブ65PS 4速MT
* ライレー・ケストレル1300 4ドア1275ccシングルキャブ60PS 4速AT
* ウーズレー1300 4ドア 1275ccツインキャブ65PS 4速MT
* ウーズレー1300 4ドア 1275ccシングルキャブ60PS 4速AT

MG 1300 Mk.2 2Door

1968年10月:MG、ライレー、ウーズレーが、細部を変更して1300Mk.2に。MGは3連メーターなどを採用、4速MTはツインキャブ1275ccの圧縮比を高め70psとしたエンジンを搭載(4速ATは60psのまま)。ライレーもMGとの共通化を進め、同様の変更を受ける。ウーズレーは4速MTの出力が65psのままとされた。
* MG1300Mk.2 2ドア 1275ccツインキャブ70ps 4速MT(1971年生産終了) 
* MG1300Mk.2 2ドア 1275ccシングルキャブ60ps 4速AT(1969年生産終了)
* ライレー・ケストレル1300 Mk.2 4ドア 1275ccツインキャブ70ps 4速MT(1969年生産終了)
* ライレー・ケストレル1300 Mk.2 4ドア 1275ccシングルキャブ60ps 4速AT(1969年生産終了)
* ウーズレー1300 Mk.2 4ドア 1275ccツインキャブ65ps 4速MT
* ウーズレー1300 Mk.2 4ドア 1275ccシングルキャブ60ps 4速AT

AUSTIN 1300 GT 4Door

1968年10月:モーリスとオースチンの4ドアに、70psの1275ccツインキャブエンジンを搭載し、黒基調のグリル、サイドモール、レザートップ、3連メーター、フィン風ホイールキャップなどを採用した、1300GTを追加。
* モーリス1300GT 4ドア 1275ccツインキャブ70ps 4速MT
* オースチン1300GT 4ドア 1275ccツインキャブ70ps 4速MT

AUSTIN 1300 Mk.3 COUNTRYMAN

1971年4月:モーリス(含1300GT)、MG、ライレー、モーリス・トラベラーを廃止。大幅な車種整理を行うと共に、車両各部を新時代の基準に沿ったものに変更。オースチンはフロントグリルがブラックアウトされたものになる。1100の4速MTがフルシンクロ化される。名称は○○1300 Mk.3に移行。
* オースチン1100Mk.3 4ドア 1098ccシングルキャブ48ps 4速MT&AT
* オースチン1100Mk.3 2ドア 1098ccシングルキャブ48ps 4速MT&AT
* オースチン1300 Mk.3 4ドア 1275ccシングルキャブ60ps 4速MT&AT
* オースチン1300 Mk.3 2ドア 1275ccシングルキャブ60ps 4速MT&AT
* オースチン1300 Mk.3カントリーマン 3ドア 1275ccシングルキャブ60ps 4速MT&AT 
* オースチン1300GT 4ドア 1275ccツインキャブ70ps 4速MT
* ヴァンデン・プラ・プリンセス1300 Mk.3 4ドア 1275ccツインキャブ65PS 4速MT
* ヴァンデン・プラ・プリンセス1300 Mk.3 4ドア 1275ccツインキャブ62ps 4速AT
* ウーズレー1300 Mk.3 4ドア 1275ccツインキャブ65ps 4速MT(1973年生産終了)
* ウーズレー1300 Mk.3 4ドア 1275ccツインキャブ62ps 4速AT(1973年生産終了)
1974年6月:ADO16シリーズの生産を終了

【TOPICS 】英国以外の姉妹車は個性的!?

ADO16は、欧州やオセアニアの数か国でも生産されたが、中には独自の仕様のものもあった。イタリアで1963~70 年に生産されたイノチェンティIM3 とそのベーシック版J4 は、ピニンファリーナ自身によりフロント・デザインを変更していた。またスペインでオースチン・ヴィクトリア、南アフリカで同アパッチとして1971~78 年に生産されたモデルは、ボディ前後をミケロッティの手による70 年代らしいデザインに変更していた。

Text:中島秀之  Photo:奥村純一
Special Thanks:オートモビル・アシスト・ブレス http://www.blesscar.jp/
TIPO 2017年6月号より転載

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