【趣味の中古車ガイド】アルファロメオSZ/RZが欲しい!!【Purchase Project 18】
中古車として人気の高いモデルの概要、ヒストリー、バリエーション、トラブルシューティング、インプレッションなどを紹介するティーポの人気連載【Purchase Project】から、異端のデザインと希少性で今も多くのアルフィスタを魅了する、SZ/RZの詳細に迫ります。

【SUMMARY】
アルファロメオは1950~70年代に、カロッツェリア・ザガートとの共同で、いくつかのスペチアーレ・モデルを生み出してきた。
1986年にフィアットがアルファロメオを傘下に収め、ブランドイメージ向上のため、久しぶりにザガートとのコラボレーションモデルを企画する。ベースに選ばれたのは、当時の主力車種だったアルファ75で、アルフェッタ以来のトランスアクスルを採用したプラットフォームをほぼ流用。ただしフロントのダブルウイッシュボーン・サスペンションは、スプリングが75のトーションバーではなくコイルを用いている。また約4㎝車高を上下できる機構も採用された。
エンジンは75アメリカなどで使われたV6SOHC 2959ccで、210psまでチューンして搭載された。
ポイントとなるボディデザインは、フィアット・デザインセンターのロベルト・オプロンの原案を、アルファロメオ・チェントレスティーレとザガートが協力する形で仕上げられた。
1989年のジュネーブショーでES30の名でプロトタイプが発表され、ザガートで生産を開始。その後SZとして市販に移された。生産台数は当初1000台が予定されていたが、1991年までに1036台が作られた。その後1992年に、オープントップに改造されたRZが発表され、1992年までに284台を生産。日本では両モデルとも、正規代理店を通じて数十台が導入され、並行輸入車もかなりの台数が輸入されている。
【EXTERIOR & ENGINE】 今見てもとびきり個性的なエクステリア
左_前後にアルファロメオのエンブレムが備わる。中_リアバンパー部にあるのは上がリフレクターで下がバックフォグランプ。右_フロントフェンダーにザガート・ミラノのエンブレムが備わる。
【INTERIOR & LUGGAGE】外観に比べオーソドックスなインテリア
【IMPRESSION】V6の快音を聞きながらFRの素直な操縦性を堪能

今回お借りしたのは、基本的にノーマルでコンディション良好なSZ。ただしフロントブレーキがタロックス製キャリパーに変更され、ブッシュ類にシリコンゴムが使われているという。
まず乗り込んで感じるのは、シートが思ったほどサポートせず、硬めの印象なこと。ただし着座位置はそれほど低くなく、背の低い筆者でも視界は良好だ。
エンジンをかけ走り出すと、そのパワーステアリングの自然さに思わずニンマリしてしまった。軽すぎず重すぎない、絶妙なフィールなのだ。しかも切れば切っただけノーズがスッと入る感覚で、前後バランスの良いFR を運転しているということを、改めて認識させてくれる。
ただそれ以上に快感なのは、やはりエンジンだ。各ギアで少し引っ張ると、アルファ謹製のV6 がトロけるような快音を発する。155やGTV 系にもほぼ同じエンジンを搭載する車両があるが、縦置きされたエンジンから聞こえる音は、更に一段と良く感じられるから不思議だ。
乗り心地はそれなりに硬めだが、前後55 /50の偏平率の16インチタイヤと、アルファらしく路面をいなしながら、きちっと4 輪を接地させるサスペンションが、不快な印象を一切与えない。ただ現車はブッシュ類を変更しているせいか、どことなく当たりが硬いというか、ソリッドに感じられることがあった。
ブレーキに関しては、フロントに6 ポッドキャリパーが奢られており、全く問題なかった。クーラーも効いており、怪物を涼しい顔で運転できたのだった。
【TROUBLE SHOOTING】
#01 ラバー製のカップリングは消耗品
SZ/RZ はアルファ75 のメカニズムをほぼ踏襲しているため、メンテナンスのポイントも同車に準じている。最も注意すべきなのは、プロペラシャフトのカップリング。ラバー製で劣化しやすいため、消耗品と考えた方がいい。交換時期は数万km ごと、とのこと。またタイミングベルトも3~4万km ごとに交換した方が安心できる。その他ブッシュやマウント類も定期的な交換をお勧めする。
#02 ハーネス類はできれば交換を
現代のクルマに比べ、電気系にはやはり注意が必要。生産から30 年以上経過しているだけに、なおさらだ。特にエンジンルーム内は熱がこもるため、コネクター類はもちろんハーネスそのものの劣化が進んでいる可能性が高い。ハーネス類の交換を全て行うと数十万円必要となるので、不具合がなくても、専門知識のあるショップと相談しながら、リフレッシュしていくことをお勧めする。
#03 アウターパネルはパーツなし
SZ/RZ はスチール製のインナーモノコックの上に、FRP パネルを装着している。このアウターパネル類、つまり外装パーツはすでに在庫がないそうで、傷をつけた場合は修理するしかない。また3 連のヘッドライトレンズもパーツは既になく、飛び石などで割らないよう、透明の保護フィルムを貼っているオーナーも多い。なおRZ の幌は破れやすい箇所があるが、修理も交換も可能とのこと。
#04 ノーマルパーツは元の個体と一緒に
SZ/RZ の空調は、エアコンではなく、ヒーターとクーラーがそれぞれ別(吹き出し口は共用)になっている。クーラーはそれなりに壊れる場合があるそうだが、基本的に修理は可能とのこと。なおクルマの性格上、モディファイされた個体も少なくないが、できればノーマルパーツが残っている個体を選びたい。逆に言えば、ノーマルパーツは絶対に捨てずに、その個体と一緒にしておいて欲しい。
【CAR'S DATA:取材車両詳細】

1997年アルファロメオSZ
全長×全幅×全高:4060×1730×1310mm/ホイールベース:2510mm/車両重量:1260kg/エンジン:水冷V6 SOHC12バルブ/総排気量:2959cc/最高出力:210ps/6200rpm/最大トルク:25.0kg-m/4500rpm/サスペンション(F/R):ダブルウイッシュボーン/ド・ディオン+セミトレ+ワッツリンク/ブレーキ(F&R):Vディスク/タイヤ(F/R):205-55R16/225-50R16/取材協力:コレツィオーネ http://www.collezione.co.jp/
【CHRONOLOGY】 アルファロメオSZ/RZ 生産/販売の変遷
1989年3月:ジュネーブショーでコンセプトカー「ES30」が発表される。その後アルファ・ロメオSZとして欧州市場で市販を開始。1989年中に13台のSZを生産。
1990年:1990年中に275台のSZを生産。
1991年:日本でALFA ROMEO JAPANを通じ、SZの正規輸入車のデリバリーを開始。
1991年11月:SZの生産を終了。1991年の生産台数は748台。1989~91年のSZの総生産台数は1036台。
1992年9月:パリ・モーターショーでアルファ・ロメオRZを発表。
1993年:日本で、ALFA ROMEO JAPANを通じ、RZの正規輸入車のデリバリーを開始。
1994年12月:RZの生産を修了。RZの総生産台数は284台。
[VARIATION] アルファロメオRZ さらに希少なオープン仕様

1992 年に発表されたRZは、細かい部分がSZとは異なっている。オープン化に際して、シャシーに補強を加えた上で、ボディパネルを変更。ボンネットはスリット風のものがなくなり、フロントバンパーはエアインテーク形状や下側の厚みが変更されている。これに合わせサイドスカートも厚みが少ない。幌は手動で、新設された後部FRPパネルの下に収まる。車重は100 kg 増しの1380 kg。ボディ色は赤以外に、黄、黒も用意された。生産台数は284台に終わった。



SZとは印象が異なるインテリア。シートは形状こそ同じながら、黒または赤のレザーが採用された。またセンターコンソール後方にボディ同色のパネルが装着され、リアに新設された幌カバーと連結する。インパネの形状は同じながら、メーターが白の文字盤に変更されたことが目を引く。


シート背面を倒すとラゲッジルームと直結する。リアカバーはスイッチでも開けられる。後方はFRP 製の大きなカバーが付けられ、その前に幌収納用のカバーも装着される。


赤(黒ルーフ)のみだったSZ に比べ、RZ は黒と黄色のボディも用意された。また特注で銀、緑、白も存在。幌(手動)を閉めるとご覧のようなスタイル。それほど違和感を感じさせないところは、さすがザガート。
【TOPICS 】 ワンメイクレースも行われた!


左_SZ/RZ だけのワンメイクレースはモナコでも開催された。右_3台しか作られなかったRZ のトロフィー仕様車。
SZ/RZを使用したワンメイクレースも、ヨーロッパでは開催されていた。1991~93年頃に行われたSZ-RZトロフィーがそれで、F1モナコGP のサポートレースとして行われたこともある。基本的にエンジンなどはノーマルのまま、ロールケージを組込み、足まわりをレース用に改造した車両を使用した。SZがほとんどだがRZも3台だけ存在し、その内の1台が日本にロードカーとして輸入された。いかにも好景気な時代の華やかなレースといった雰囲気だった。
Text:中島秀之 Photo:奥村純一(SZ) 内藤敬仁/佐藤亮太(RZ)
Special Thanks:コレツィオーネ http://www.collezione.co.jp/
TIPO 2017年9月号より転載